ハイライフ八ヶ岳を支える地元人たち♯03:うちゅうブルーイング

2019.06.21

「ハイライフ八ヶ岳」は、地域のさらなる発展を目指す有志なら誰でも参加できる、開かれた実行委員会のみなさんと一緒に作り上げています。
そして八ヶ岳の豊かな自然に育まれた様々な文化も、そこに暮らす人々があってこそのもの。
「ハイライフ八ヶ岳」の魅力を、そのまま体現しているとも言える、そんな地元人(じもとびと)のお話を紹介していきます。

「八ヶ岳に着陸した《宇宙》な2人が創る、入手困難な超プレミアム・ビールがフェス出店」

僕たちがハイライフ八ヶ岳の準備をはじめて出会った中で、最も刺激的でアクティブな仲間がこの「うちゅうブルーイング」=「宇宙農民」の、鈴木ルミコ&“隊長”の2人なのは、間違いありません!
最初いきなり「宇宙農民ですーっ!」って笑顔にチカラある写真の2人に迫られて「えっ?《うちゅう》ですか??」って妙な気分(笑)。なにか宗教とかスピリチュアルとかの人かとも思ったら、実際はぜんぜんリアルでアクティブで、オーガニックマーケット「わとわまつり」「ワンベジ」を主催してる元気な人たちと理解したら、またあっと言う間にかっこ良いビール醸造所を建設してビールを造り始め、そしたらそれが超刺激的な美味いビールで驚いていたら、あっと言う間に大人気になって全く飲めなくなってしまいましたー(涙)
 


“ほろ酔い”加藤登紀子と、なぎら健壱も唸らしたクラフトビール

「私たち、あんまりお酒は飲めないんですけどね(笑)。それなのに2年前にアメリカ西海岸で飲んだビールに感動して、この美味しさはナニ?ってたどるとホップの量や品種ぜんぜん違うんですよ。それで、自分たちでもできるんじゃないか?って。そこからはアッと言う間ですよ、ホンマに!(笑)」
そう、本当にアッと言う間でした。2年前の第1回ハイライフ八ヶ岳ではマーケットをコーディネートしてくれていたルミコさん、売るでもなく「宇宙」ってラベルのビールを出演者に振る舞って、あの“ほろ酔い”「加藤登紀子」に気に入られ、去年のハイライフでは「なぎら健壱」が絶賛!(いやホントに)。なにしろ、なぎら健壱は持ち歌の半分は酒飲みの歌ってぐらいお酒好きです(笑)。凄いなー、でも確かに美味しいなー、って思ってたら、あれよあれよという間に1000リットルのタンクでビールが出来上がるたび、毎週のようにルミコさんのfacebookで「もう売り切れましたー!」「1日でなくなりましたー!」「1時間で売り切れですー!」「ゴメンなさいー」の連続。僕も飲みたいのにまったく手に入らない(涙)
 


宇宙自然の摂理に沿ってと思って「宇宙農民」

「元々、エコロジカルな暮らしっていうか生き方ができる場所を探して八ヶ岳に辿り着いて、宇宙自然の摂理に沿ってと思って「宇宙農民」って、仲間たちと畑やったり、オーガニックのマーケットはじめたり、それも思いのほか大きくなって今じゃやり切れないぐらいで、ホントこの地域と人のエネルギーってありますね。ビール造り始めてから知ったんですけど、元々このあたりはホップの産地だったっていうんですね、むかし。それはもう、やるしなかいやろう!?(笑)って、そうやってホップの栽培もはじめています。仲間たちと田んぼもやってましたから、当然って感じですね(笑)。」
彼女の言うとおり元々、僕たちが出会った時の宇宙農民は地域で「わとわまつり」という大きなオーガニック・マーケットを年二回主催し、さらに小さな定期マーケット「ワンベジ」を拠点のすぐ近くで開催、自分たちの田んぼも仲間たちと耕し収穫までとても楽しそうに共有している、手作りだけどセンスの良いローカル・オーガナイザーの趣で、まさにアースガーデンの仲間!という感じで、そういった場に顔を出すたびに、ルミコさんと隊長がその笑顔の絶えないオープンな人柄で仲間の輪を広げていく様子に感心していました。
 


ブルーワリー(醸造所)と設備もセルフビルド!?

「手作りでやってきたけど、人に売るビールを造るとなったら、保健所と税務署はクリアーしなきゃいけないし、考え出すと規模もどんどん大きくなって、お金だって借りなきゃいけないから、そりゃ本気ですよ(笑)。必死になって事業計画書つくって、先輩のクラフトビール勉強に行って、税務署に保健所に何度もかよって、お金も借りれるように頑張りましたよー。」
彼女たちの拠点であるブルーワリー(醸造所)は、八ヶ岳の山麓の広がりの中で、北に八ヶ岳、南に南アルプスの峰々をのぞむ見事な風景の只中に建っている。このブルーワリーの建設もハイライフ八ヶ岳で彼女たちと繋がってから始まったのでその様子を逐一見守ってきました。クラウドファンディングや様々な仲間づくりをにぎやかに着実に進め、やがてセルフビルドで建物を建て、タンクや様々な設備を整備していく様子もfacebookなどで報告され、折々に現場も訪ねていたので、2年近く経ってもその様子がまざまざと目に浮かぶぐらい我が事のようです(笑)。何よりそういう気持ちに自然にさせてくれているルミコさんと隊長、2人の人柄と行動力が凄いなーと、いつも感心しています。
 


誰もがこの地域の、絶景と自然の良さを共有している

「八ヶ岳に移住して、その時々やりたいことをやってきたんですよね。最初は山の美しさ、水の良さなんかに惹かれてきたけど、今になって昔はホップの一大生産地だったって、何それー!?って(笑)、もう導かれてきた感じ。八ヶ岳だからビールだったって思うんです。まるでロールプレイングゲームで冒険を続けているみたいです。自分たちが辿り着いたところで、一つひとつ宝物を見つけて、物語をつなげていってるんです。清里なんて元々が開拓された土地だから、多様な人が集まってくるエネルギーが凄くて、つながって動くのも早いんですよね。そして、誰もが、この地域の自然を活かし大切にしていきたいと思って、この絶景と自然の良さを共有している、そういう広がりを凄く感じています。」
ルミコさんの話しは明るくて楽しげで活力と希望があって、うちゅうブルーイングの等身大の成功と共に、八ヶ岳の移住者の多様性を象徴しているかのよう。そんな彼女たちが「うちゅうブルーイング」としてハイライフ八ヶ岳に出店してくれます。とにかく超貴重です。会場で八ヶ岳と南アルプスの絶景の中で飲むルミコさん達のビール。今から喉が鳴ります。だってそれまで飲めないんですから、本当に(笑)

文:鈴木南兵衛