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地域拡大ミーティングレポート:開催延期への関係者の話し合いと確認の様子を、地元のライター野呂瀬さんが伝えてくれます

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ハイライフ八ヶ岳が来年への開催延期を発表したのは、新型コロナウイルスの感染者が増加の一途を辿る中、政府からは緊急事態宣言、及びまん延防止等重点措置の対象地域拡大が相次いで発令され、各自治体からは、自粛要請が相次いで出されるタイミングでした。
そんな中で開催されたFUJI ROCK FESTIVAL ’21など、音楽フェスの開催に対してSNS上などでは辛辣な批判の声が飛び交い、運営や地域の立場で実際に携わる人たちの想いや声は、第三者からの膨大な賛否でかき消され、どこか現実味を欠いた議論にすり替わっているように感じていました。
であるならば、できるだけ中立的な視点で、話し合いの姿を伝えていただければと今回、山梨県在住のライター野呂瀬さんに、開催の来年への延期を決定した地域拡大ミーティングに参加いただいたのを機に、その様子をレポートしていただきました。
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◆ハイライフ八ヶ岳地域拡大ミーティング・レポート
執筆■野呂瀬亮

8月25日(水)の夕方、清里は萌木の村ROCKにて、運営スタッフ並びに地域住民の方々が集まり「ハイライフ八ヶ岳 地域拡大ミーティング」が行われました。8月18日に山梨県から「新型コロナウイルス感染拡大防止への協力要請及びまん延防止等重点措置」の発表があり、今回のミーティングは“開催の有無”が実質メインの議題となりました。本WEBでも発表しているように、開催については来年に延期という苦渋の決断に至った訳ですが、以下それに至るミーティングの様子を伝え、関係者の想いを皆様にも共有できたらと思います。またその振り返りが、皆さんと一緒に作る今後のハイライフ八ヶ岳に活かされればと願っています。

◆メンバーそれぞれのコロナ禍
ミーティングの導入は「チェックイン」からのスタートでした。「チェックイン」とは会議の冒頭に行われるショートトーク。リモート参加のメンバーを含め各メンバーの近況やミーティングへの所感を共有します。ハイライフのメンバーは運営サイドと地元住民、その他ボランティアで構成されており、久しぶりに顔を合わすメンバー同士互いの状況や今の心境などを共有しあうのが恒例です。地域の人を含め、様々な立場の人が輪となりハイライフ八ヶ岳は作られています。

◆開催の可能性
話はそれまでの和やかな雰囲気から一転して「ハイライフ八ヶ岳開催の有無」へと進んでいきました。これまでにたくさんのミーティングや準備に骨を折ってきたメンバーとしても心苦しい議題となります。ハイライフを応援してくれている皆さんのおかげでチケットは去年の2割増し程の販売数。これだけ楽しみにしてくれている人がいる中で、メンバーは開催への可能性を何とか見出そうともがいていました。可能性で言えば行政からの返答もグレーな部分が多く、昨年のハイライフ八ヶ岳2020で実績を出した「コロナ時代のフェスのお作法」を徹底しさえすれば不可能ではない部分もあるのでは…、そんな希望を抱きながら議論は進んでいきました。

◆“参加者のみなさん”からの声
話は本WEBでアップした記事「ハイライフ八ヶ岳2021の開催について“参加者のみなさん”から声を募集します」に寄せられたアンケート結果へと展開していきました。記事アップからわずか1日半で108件もの回答が寄せられ、メンバー一同その件数の多さと励ましの言葉に感激していました。
内容はハイライフ自体には好意的でも、開催については反対と批判の声もあり。中止を求める声が4割といった結果でしたが、わざわざ記事をチェックしてご回答してくれている皆さんからの大切な意見ということで、賛成反対問わずどんな声も真摯に受け止め話し合われていました。先日開催されたフジロックに対するSNS等での激しい批判の声も踏まえた上で、メンバーそれぞれの心境を共有しあっていく流れへと話は展開しました。

◆地域の“生活者”としての想い

「この清里で暮らす、母として、“生活者”として、地域の人や自分の子どもを感染リスクに晒してしまうかもしれない事実に胸がざわざわするんです。」

「コロナウイルスの影響で賑やかだった地域のお店が元気を失い営業していくことすら困難になっている中で、開催しようという気持ちにどうしても踏み切れません。」

「皆さんの大切な人を苦しめる可能性があるのに、自信をもって来場を促せません。」

この八ヶ岳の地に暮らす地元住民を中心に切実な声があがりました。もちろんメンバー一同開催を目指してここまで準備をしてきているのは大前提。ですがハイライフ八ヶ岳のテーマである“地域の自然環境と文化に寄り添い、より豊かな人と地域の輪を作る”といった点で、地域の人々からの意見は尊重されるべき重要な要素でした。

そんな声が次々と挙がる中

「まずはこのメンバー同士から豊かで強い輪となることが、“胸を張って開催”するのには必須なんだよね。」

プロデューサーである鈴木幸一さんからのその言葉に、メンバー一同「延期」という方向性に意識が統一されていくようでした。
地域の人から歓迎されない可能性がある以上はハイライフ八ヶ岳の開催には踏み切れない、それがこのチームのポリシーなのです。

◆ハイライフの“やるべきこと”
「あえて開催できると仮定すると、どんな状況や準備が必要になるんだろうか?」
日頃コロナウイルスの情報を集めて知識を深めているプロデューサーの鈴木さんからの問いかけがありました。当然まだ強行策の可能性を検討しようということではなく、今後の状況が読めない中で延期開催できるタイミングや可能性を探っていこうという意向です。

・前提としてまん延防止や緊急事態宣言が発令されていない状況下での開催
・今よりもさらに徹底した感染対策をする(来場者に対してPCR検査の義務化)

メンバーからはこのような意見が中心に挙げられました。行動が個人の意思表示そのものだと捉えられてしまう危惧がある現在、実際に来場される人を守るためにも「世論」というものに向き合って開催を今後検討していかなければならないこと、また完全な感染防止策はなくとも最大限自信をもって来場者を迎えられる対策をしていくことなど、開催に必要な要点を共有し合いました。

◆決断と今後に向けて
「今回のミーティングで一番大切にしたかったことは、“なぜやらないのか”ということをメンバー全員でしっかり共有し合うことでした。今回のハイライフ八ヶ岳2021は延期としましょう。必ず今後につながる意味のある延期にしよう。」
代表として誰よりも尽力してきた鈴木さんからの苦渋の言葉で延期が正式に決まり、声を詰まらせながら、時に涙を流しながらそれぞれの想いをぶつけ合った今回のミーティングだったと感じました。
実際に今後どんな対応が必要になるのか、どういったことが判断基準になるのか、チームとしてまだ明確に“正解”を見つけることはできなかったかもしれませんが、「胸を張って開催できるハイライフ八ヶ岳」その主たる意味をしっかりとメンバー同士で共有することができたミーティングとなりました。
今後延期にあたりチームとしてどんなアクションをしていくかはまだ模索中。
ただこの苦渋の決断を無駄にせず、必ずまたハイライフ八ヶ岳を開催することを確認し合ってメンバーはまたそれぞれの生活に戻っていきました。

◆最後に
これまでコロナウイルスに翻弄されながらも「ハイライフ八ヶ岳」はこうしたミーティングを重ね、常に新しい試みを続けてきました。先述した「コロナ時代のフェスのお作法」などはまさにその最たるものでしょう。この度初参加である僕がこの記事を書かせてもらうことになったのも、そうした“試み”の一つです。「開催レポート記事をお願いできる方を求めます」という本WEBの記事に応募をさせてもらったのがきっかけでした。“様々な視点からこのハイライフ八ヶ岳の呼吸を伝えたい”そんな想いで、今回立場や実績を問わず柔軟にメンバーに迎え入れてくださったこのチームの懐の深さと斬新なスタンスに「さすがハイライフ八ヶ岳」と改めて敬意と感謝を表します。
この状況でも入場制限や会場の隔離など何等かの強行手段をとれば開催できる可能性はあったでしょう。ただこのチームの理想と定義するハイライフ八ヶ岳は単なる「一過性の祭り」ではなく、関わる人々やその土地に根付く一つの「営み」であるのだと思います。“ハイライフ”という名前の所以でもある「LIFE=生活」、その営みはこれから先も絶えず続いていくものです。今回この延期という決断は「コロナに屈した」結果ではなく、この八ヶ岳に悠々と流れる営みへの敬意と尊厳を再確認し、この地でハイライフ八ヶ岳が生き続いていく未来への布石を残すための英断だったと僕は思います。
状況に順応し、絶えず胎動していくのも営みのひとつ。これからも引き続き、このハイライフ八ヶ岳の進化を見守って下されば幸いです。


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執筆■野呂瀬亮
山梨県内を中心にフリーライターとして活動している、音楽・文章・落語・古く歴史のあるもの・キャンプなどが好きな29歳男です。
言葉を整理することは自分の頭を整理すること。今の自分が感じていたりするものを素直に言葉にしていきたいと思います。
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